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日本顎顔面歯科esports研究会
設立主旨

専務理事 歯学博士 前田 幸宏

医療法人社団WDM 理事長 / 歯学博士 / 北海道医療大学非常勤講師 / 昭和大学歯学部兼任講師

 リアルスポーツにおける顎顔面歯科分野の健康維持の必要性は昔から重要視されていますが、日本においてスポーツ分野での顎顔面歯科分野の関わり合いはまだまだ発展途上だと考えられます。
 私は、15年前からNPBのプロ野球選手達の治療機会を頂き、延べ50人ほどの選手達やスタッフの口腔内の管理や治療に携わってきました。
 そこで感じたことは、プロ野球を知らない人達でも名前を聞いたらわかるようなトップ選手が、体のケアは球団のトレーナーや私的なトレーナー等にしっかりしてもらっているのにも係わらず、顎顔面歯科分野の口腔内のケアに関しては、歯科検診も行わない球団もあり、選手たち自身もほぼ関心が無く、歯ブラシの仕方は自己流、歯が痛くなったら近隣の歯科医院を受診したり、試合で必要なマウスピースも市販品にてまかなっているのが現状でした。

 最近良く目にするようになった市販のマウスガードは歯科医院でしっかり噛み合わせ等の調整をして顎顔面の筋肉や噛み合わせのバランスを付与したものではなく、軟化させて制作するものや、大手メーカーが歯科技工士と連携して歯型だけ採って模型上で製作したものを使っている事が多く、それらに関しては、逆に筋肉のバランスを崩してしまったり、パフォーマンスを低下させることになってしまっている現状です。
 厚生労働省の通達(医政歯発1225第4号)でマウスピースに関しては令和元年12月25日に『いわゆるマウスピースの取り扱いについて』と題して、各都道府県、保健所を設置する市、特別区の医務主管部(局)長宛に、歯科医師の指示のもと、委託をされた歯科技工士が作成するもの以外は歯列や咬合等に悪影響を及ぼすと、注意勧告がなされました。

 冒頭に述べたことを踏まえて、esportsの選手たちやesportsを楽しむ人達は、これから特に長時間の姿勢保持や集中をしなければならない環境の中で、全身的な疾病への影響が懸念されることから、顎顔面歯科分野の健康管理やメンテナンス等は重要視されるものと考えらえます。
このような考え方は、日本におけるesportsの発展においてさらには世界的にみても不利益を被るものであり、また諸外国の選手たちと比べても日本の選手たちの口腔管理の意識は低く、顎顔面歯科分野での健康管理や維持は、遅れていると思われます。
 以上のことから、商業主義ベースではなくて、しっかりとしたエビデンスベースでの予防、治療や治具、商品等の開発を我々歯科医師が中心となって行い、日本のesportsの発展に陰ながら寄与していきたいと思い、日本顎顔面歯科esports研究会を立ち上げました。

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